サッカーをはじめたのは小学校1年生のときですから、かれこれ30年経ちますが、一度もやめようと思ったことはありません。
「好きこそものの上手なれ」という言葉があります。
好きなことはいつまでやっても飽きないし、もっとうまくなりたいという向上心がいっそう技術を向上させてくれる。そんな意味だと解釈しています。プロの集団というのは、その仕事が“特別に好きな人の集まり”ともいえるでしょう。
ひたすらボールだけを追いかけていたあの頃の気持ちはいまも自分の中に生きています。この気持ちがある限り、もっともっとサッカーがうまくなれると信じて、僕は毎日の練習に取り組んでいます。
最近ではプロサッカー選手としての仕事をしながら、サッカーで学んだことをより多くの人に伝えていく方法はないかと考えるようになりました。
サッカークリニックもその一つで、サッカーの練習を通じて子供たちと触れ合う機会が増えました。
ボールを追い求めて懸命に走る子供たちを見ていると、少年時代の自分を見るようで懐かしくもあり、つい頑張れと声をかけたくなります。
子供たちの中には将来のJリーガーや、なでしこジャパン入りを目指す少年少女もいて、トレーニングコーチの僕から少しでも多くのことを吸収しようという前向きな姿勢で練習にのぞんできます。指導するこちらも熱が入って、とても充実した時間を過ごすことができます。
その一方で、どうもあまり熱心ではないなと感じられる子供がいます。そうした気持ちはすぐ動作に出ますので、集団の中にいるとすぐに見分けがつきます。
こうしたケースでは多くの場合、保護者のほうが熱心で、「ウチの子供はどうしたらサッカーがうまくなるでしょう」といった質問をされたりします。僕の答えはいつも同じで、「とにかくサッカーを好きになることです」とお話しています。

サッカーをうまくなるのに近道はなくて、日々の基礎練習の繰り返しの中から「止める・蹴る」技術をちょっとずつ伸ばしていくしかありません。あのジーコでさえ現役選手時代の練習では基礎トレーニングを徹底して行い、「サッカーは止める・蹴るがすべてだ」とよく言っていました。
いまはTVで気軽に世界トップレベルの選手たちのプレイを見ることができます。
ロナウジーニョ(バルセロナ)のように華麗なドリブルで相手を抜きさってみたいと思うのは当然ですが、誰もが彼のようなプレイを実践できるはずもありません。
あのレベルに達するまでには気の遠くなるような基礎トレーニングの日々があるのです。
なぜ単調で地味な基礎トレーニングをこつこつ続けられるのか。それは先に述べたように「サッカーが好きだ」という純粋な気持ちを持ち続けているからにほかなりません。
「ウチの子はどうしてサッカーが上達しないのだろう」。そんな疑問を持つ保護者の方がいたら、一度お子さんに本当にサッカーが好きなのかどうかを尋ねてみるとよいでしょう。
ひょっとすると「ほかに好きなこと」があるのかもしれません。
もしくは「好きなんだけれどなかなか上達しない」こともあるでしょう。
または「保護者の方とボール蹴り遊びをしたい」だけなのかもしれません。
お子さんからサッカーが好きという意思表示を受けたら、そのまま継続されることをお勧めします。なぜならサッカーというスポーツを通じて学ぶことはたくさんあるからです。サッカーの練習というと技術オンリーに聞こえがちですが、そんなことはありません。
- どこにボールを出せば味方はパスを受け取りやすいのか。
- どこにどうやって動けば味方のサポートができるのか。
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